業務委託契約、締結前に確認する10項目
揉めごとの大半は、契約書に書かれていなかったことから起きる。締結前の30分で、あとの数か月が決まる。
契約書は、うまくいっているときは読み返さない。読むのは揉めたときで、そのときには内容を変えられない。締結前に押さえるべき項目は多くないので、順に確認する。
業務と成果物
- 01
業務の範囲
何をどこまで担うのかが具体的に書かれているか。「その他付随する業務」だけで広く括られていると、実質的に無制限になる。
- 02
成果物と完了の定義
何をもって完了とするか。準委任なのか請負なのかで、責任の重さが変わる。検収の基準と期間を確認する。
- 03
指揮命令の関係
業務委託でありながら、時間や進め方を細かく指示される状態は本来の形ではない。裁量の範囲を確認しておく。
報酬と稼働
- 01
報酬の額と算定方法
月額固定か時間精算か。時間精算なら単価と単位(時間・人日)を確認する。
- 02
支払期日
いつ締めて、いつ払われるか。フリーランス新法では、給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内に支払うことが発注事業者に義務づけられている。
- 03
稼働時間の上下限と精算
下限を割った場合、上限を超えた場合にどう精算するか。ここが未定のまま始めると、超過分が無償になりやすい。
- 04
経費の負担
交通費、ツール利用料、書籍代を誰が負担するか。金額が小さくても、期間が長ければ効いてくる。
終了と権利
- 01
契約期間と更新の手続き
自動更新か、都度合意か。更新の可否をいつまでに通知するかを確認する。
- 02
中途解除の条件
どちらからどういう場合に解除できるか、予告期間は何日か。6か月以上の業務委託については、中途解除・不更新の際に少なくとも30日前の予告が発注事業者に義務づけられている。
- 03
知的財産と秘密保持
成果物の権利が誰に帰属するか。汎用的な手法やノウハウまで相手方に移る書き方になっていないかを見る。
本稿は一般的な情報であり、個別の契約に対する法的助言ではない。フリーランス・事業者間取引適正化等法(2024年11月1日施行)の内容は公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省の公表資料を確認し、契約内容に疑義がある場合は弁護士等の専門家に相談すること。
修正を申し入れてよい
提示された契約書をそのまま受けなければならない決まりはない。範囲の明確化や精算方法の追記は、発注側にとっても後の紛争を減らすので、通ることが多い。申し入れないまま始めると、同じ条件で更新され続ける。
Takeaways
- 業務範囲・完了の定義・裁量の三つを最初に確認する
- 支払期日と稼働超過の精算方法は、書面で確定させる
- 中途解除の予告期間と、知的財産の帰属範囲を見落とさない